
2025年11月21日から23日まで、タイ・バンコクの中心地サイアムパラゴンで開催された第17回FITフェアに参加してきました。今回は信州上田市観光協会のスタッフとして、ブースで多くのタイの方々と直接交流する機会に恵まれました。
本記事では、イベント期間中に見えたタイ市場の最新トレンド、来場者の反応、SNSの動き、そしてPantip訪問で得た学びをまとめてお届けします。
SNSでの大きな反響

今年のFITフェアでは、SNSの反応は例年以上に大きく、リアルイベントの力を改めて実感しました。
- Facebook :フォロワー+700名
- Instagram:フォロワー+300名
が新たに加わりました。デジタルでのつながりが、リアルイベントでの接点を通じて大きく広がることを実感した3日間となりました。
この冬、注目されるのは「白馬」と「長野市」?!
ブースを訪れる多くのタイの方々から聞かれたのは、「白馬」と「長野市」についてでした。
- 「白馬ではどこがおすすめですか?」
- 「長野市の観光スポットを教えてください」
といった具体的な質問が次々と寄せられました。
個人的な肌感覚ではありますが、この冬のタイ市場では白馬と長野市が特に注目を集めていると感じました。
- 白馬:スノーリゾートとしての圧倒的なブランド力
- 長野市:善光寺を中心とした歴史文化×アクセスの良さ
この2つの地域が、今シーズンのタイ人旅行者を惹きつけているようです。
来場者の年齢層の変化:50代以上の夫婦が増加?!
昨年のFITフェアと比較して明らかな変化がありました。それは来場者の年齢層です。
今年は50代以上と思われるご夫婦での来場が目立って多く、経済的にも時間的にもゆとりのある層が、日本旅行に強い関心を持っていることが伝わってきました。
「日本人スタッフのおもてなし」への期待

ブースでの対応中、複数の方から興味深い質問を受けました。
「日本の宿泊施設のスタッフは外国人ですか?それとも日本人ですか?」
というものです。
詳しく話を伺うと、「日本人スタッフのおもてなしを受けたい」という明確な希望をお持ちでした。タイ語や英語が通じる便利さよりも、本物の日本式のホスピタリティを体験したいという気持ちが強いのです。日本文化の一部としての「おもてなし」が、旅行の大きな価値になっていることを実感しました。
インフルエンサーの取材と彼らが求めるもの

今回のFITフェアでは、6名のインフルエンサーの方々が信州上田市のブースを取材に訪れてくださいました。彼らとの対話を通じて、効果的な情報発信のヒントが見えてきました。
①重視されていたのは“現地での体験”
インフルエンサーが最も興味を示したのは、パンフレットやノベルティではなく、
実際に上田でどんな体験ができるか という点でした。
- 上田でのグルメ体験
- 上田ならではの特別な料理
- 地元の人が知る隠れた名店
こうした“体験価値”への関心は非常に強く、発信時にも体験を軸にする重要性が改めて確認できました。
②ストーリーのある旅が響く
単に観光スポットを紹介するだけでなく、
「どこか人気エリアと組み合わせた旅の流れ」を描く ことで、より魅力的になるとアドバイスをいただきました。
例:
白馬でスキー → 上田で歴史(真田氏)に触れる → 信州そばと地酒を味わう
旅の“物語”があることで、読者が旅をイメージしやすく、SNSでも拡散されやすいとのことです。
③タイの“สายมู(サーイ ムー)文化”に神社紹介がマッチ
インフルエンサーからは、タイでは
願掛け・パワースポットを大切にする“สายมู文化”が非常に強い
という話もありました。
そのため、上田市にある神社の紹介はタイの方に興味を持たれやすいとのことです。
特に重要なのは、
「お参りしたらこんな良いことがあった」など、体験に近いストーリーで伝えること。
スポット紹介よりも「気持ちが伝わる語り」が刺さりやすい文化的背景があります。
また、
“競争に勝ちたい”“試験に合格したい” と願う人が多いタイでは、
勝負運で知られる 真田神社 は特に関心を引ける可能性があります。
Pantip訪問で学んだ「継続の重要性」
FITフェア終了後の11月24日(月)には、タイ最大級の掲示板サイト「Pantip」の編集部を訪問しました。
Pantip編集部との対話で印象的だったのは、
「今、タイ人に大人気の上高地も、8年前にPRを開始してから認知され、人気になるまでに5年かかった」
という事実です。どんなに魅力的な観光地でも、一朝一夕には知られません。長期的な継続が何より大切だと、改めて教えていただきました。
日本旅行の強み:高いリピート率
Pantip編集部によると、タイ人の日本旅行はリピート率が非常に高い一方、中国はリピーターが増えにくい傾向があるそうです。
その大きな理由として、「旅行中のストレスの差」が挙げられます。
中国でリピートが少ない主な理由は、
- 言語障壁が大きく、翻訳アプリが使えないなど不便が多い
- 清潔さ・安全性・接客品質にばらつきがある
- 地方や自然エリアは個人旅行がしにくい
といった点が影響しているとのことでした。
一方、日本は
- 清潔で安心
- 丁寧で安定したサービス
- 個人旅行でも回りやすい
- 食の安心感が高い
など、タイ人が重視するポイントを満たしており、「また行きたい」と思う体験につながっています。
その結果、1回目は都市部、2回目以降は地方へと関心が広がり、上田市のような地域にとっても大きなチャンスになっています。
まとめ
第17回FITフェアとPantip訪問を通じて、タイ市場における日本観光の現状と未来が見えてきました。
白馬と長野市という人気エリアとのストーリー性ある連携、日本人によるおもてなしの価値、グルメを中心とした体験の訴求、そしてSNSとインフルエンサーマーケティングの活用。これらを組み合わせながら、長期的な視点で継続してPRを行っていくことが重要です。
上高地が5年かけて人気になったように、上田市も焦らず着実に、タイの皆さんとのつながりを深めていきたいと思います。
記:信州上田市観光協会サポートスタッフ
タイマーケティング研究所 ピムピラ
次回のタイ大型旅行博は?
2026年1月に開催予定のTITF(Thai International Travel Fair:タイ国際旅行フェア)です。
タイ最大級の旅行イベントのひとつで、FITフェアに続く重要なPRの機会になるでしょう。
